高橋徹郎 × 野田孝則
糸島に恩返しを ~地方政治とわたし~
高橋徹郎
福岡県糸島市議会議員(1期)。タレント。役者。脚本家。
1967年愛知県に生まれ、大学時代を福岡で過ごす。
九州芸術工科大学(現・九大芸術工学部)を卒業後、
KBC九州朝日放送のテレビ番組『ドォーモ』で、
その人気がブレイクし、九州では現在も抜群の知名度を誇る。
2003年に移住した糸島市をこよなく愛する政治家として活躍中。
- 野田
- 久しぶり!
議員生活はどう?忙しい?
- 高橋
- それがですね、考えていた以上に忙しいんですよ。
- 野田
- あ、忙しいんだ。
- 高橋
- 議会はですね、3分の2ぐらい出席していればいいんですけど、
それ以外の会合だなんだが、ものすごく忙しいんですよ。
( ビッシリ埋まったスケジュール帳を見せながら )
- 野田
-
うわ!タレント時代より忙しいんじゃない?(笑)
- 高橋
- そうなんですよ(笑)。
でも、ちなみに言っておきますけど、
僕、タレントはやめてないですからね。
- 野田
- え、二足のわらじでもいいの?
- 高橋
- はい。
糸島市議会の議員でも、農業をやりながらとか、
飲食店なんかの自営業をやりながら、という人がほとんどですよ。
- 野田
- でも実際問題、議員活動が忙しいと、
もともとの仕事のほうは大変でしょう。
- 高橋
- そうですねぇ、
特に農業やってらっしゃる方なんかは大変だと思います。
- 野田
- そもそもスターはさ、なんで、政治家になったの?
- ※編集注
- 【スター】・・・スター高橋。
野田は高橋議員を昔からこう呼んでいます。
- 高橋
- それはズバリ、奥さんの影響ですね。
- 野田
- 亜美ちゃんの?
- ※編集注
- 【亜美ちゃん】・・・歌手の高橋亜美さん。
奥さんも古くからの友人です。
- 高橋
- 奥さんがですね、一応歌手なんですけど、
色んな地域の小学校や施設をまわって、
「生まれてきてくれてありがとう」っていうテーマで、歌を通じて、
命の大切さを知ってもらおうという活動をやってるんですね。
儲かるわけでも何でもないのに、何年も根気強くやってる。
それが、行く先々でものすごく感謝されているのを見たとき、
うらやましい反面「僕も人の役に立ちたい」と思ったんですよ。
だから今の僕があるのは一から十まで、奥さんのおかげなんです。
- 野田
- なかなか言えない言葉だよ。
スターは北斗晶をめとった佐々木健介並みの幸せ者だね。
- 高橋
- フェッ、フェッ、フェッ、フェッ、フェッ。ゥヒィ~。
- ※編集注
- スター独特の引き笑いを文字で表現するとこうなります。
ちなみに我々は二人ともプロレス・格闘技ファン。
スターは野田の番組企画で、佐々木健介や前田日明、
小橋建太にぶっ飛ばされたこともあります(笑)
- 野田
- でも僕は何だか感慨深くてね、
高橋徹郎っていう人間をずっと見てきて
「人生っておもしろいな」って改めて思うんですよ。
だって、パンの耳かじって飢えをしのいでた「貧乏学生」が、
ちょっとしたきっかけで「タレント」になって、
ブレイクしたら「スター」でしょ。
だいたい何で「スター」って呼ばれるようになったの?
- 高橋
- それは野田さんですよ。
- 野田
- え、俺?
- 高橋
- 野田さんが言い出して、タケボーが広めたんですよ。
- ※編集注
- 【タケボー】・・・武内裕之。KBC九州朝日放送の元アナウンサー。
現在、KBC東京支社勤務。タケボーとスターの二人は、
野田が企画した「辛子変態子(からしへんたいこ)」
というお笑いユニットで、2年近く活動していました。
- 高橋
- タケボーと辛子変態子やってた時、
僕がもの凄い派手な服でロケに行ったら、
野田さんが「なんやそれ?まるでスターやんか!」
って言ったのを、タケボーが面白がって
「スター、スター」って言い出したのが始まりですよ。
- 野田
- そうなんだ?
それは失礼しました(爆笑)
- 高橋
- フェッ、フェッ、フェッ、フェッ、フェッ。ゥヒィ~。
- 野田
- テレビに出だしたのは、ドォーモのロケで
(山本) 華世ちゃんにナンパされたのがきっかけでしょ?
- ※編集注
- KBC「ドォーモ」の企画で“一般人をスーパーマーケットでナンパして、
自宅まで付いていって料理を作ってもらう”というロケで、
山本華世(福岡のタレント)に声をかけられたのがすべての始まりです。
- 高橋
- はい、それでちょこちょこテレビに出してもらうようになって・・・。
- 野田
- スターになったというわけだ?
- 高橋
- でも僕は「テレビに出たい」とか
「有名になりたい」とか、全然無かったんですよ。
- 野田
- スターなのに?(笑)
- 高橋
- フェッ、フェッ。
実のところは、テレビにちょっと出ただけで
「え、こんなにもらえるの?」だったんですよ。
もちろん「こんなに」って言っても、
たいした金額じゃありませんでしたけど、
それまでやったアルバイトの中では群を抜いて高かったですもん。
それで当時は、劇団作ってお芝居もやってたんで、
毎日毎日決まった時間のアルバイトっていうのも
難しかったんですよね。
そう考えたら、呼ばれたときだけパパッとやって、
しかも効率がいい「テレビのロケ」って
最高のアルバイトだったんですよ。
- 野田
- スターを目指してたわけじゃない、と?
- 高橋
- 全然目指してませんよ。
逆に言うと、だからこそ長続きしたのかもしれませんね。
でも、お芝居やってる時って生活も苦しかったし、
将来、どうなるんだろうっていう不安だらけだったんですよね。
そんな日々の生活の中で、テレビに携わっているっていう
部分があったから、精神のバランスが取れていたような気はしますね。
- 野田
- 実際のところ、スターって普段は物静かで、
どちらかというと地味な作業なんかが好きなタイプだもんね。
それが、ひとたびカメラの前に立つとスイッチが入るというか、
スパークの度合いが常人離れしてたもんね。
- 高橋
- フェッ、フェッ、
そんなところでバランスが取れてたんでしょうね。
- 野田
- でも僕がスターとやった企画って
メチャクチャなヤツばっかりだったじゃないですか。
あんなんでバランスが取れてた?(笑)
- 高橋
- メチャクチャでしたねぇ(笑)
- 野田
- ええっと、ハイキングって騙して、
沢登りに連れて行って溺れかけたりとか、
ロッククライミングで滑落しかかったりとか・・・、
あ、ベニヤ板で作ったカヌーで川下りして
転覆したりもあったね(爆笑)
- 高橋
- よゐこの濱口さんがやるより何年も前に、
無人島生活やったりもしましたよ。
夜、砂浜から湧き出てくる、
得体の知れない虫たちの気持ち悪さは、
今でも忘れられませんよ、悪い意味で(笑)
- 野田
- いやいや、あの企画でわかったのは、
人間ってたくましい生き物だなぁと。
何時間もかけて火をおこして、
銛で魚捕って食べちゃうんだから。
- 高橋
- あんなこと良くやりましたね、フェッ、フェッ、フェッ。
- 野田
- そんなこんなで、テレビの世界で
心身共に鍛えられたスターですけど(笑)。
ついに政治家になり、”先生”と呼ばれるまでになりました(笑)
- 高橋
- テレビと政治という事で言えば、
やっぱり選挙の時のアドバンテージはものすごく感じましたね。
本当に他の候補者の方には申しわけなかったんですけど、
とりあえず有権者の皆さんが僕の事を
知ってくれているっていうのは、ものすごく助かりました。
- 野田
- 聞くところによると、糸島市議会選史上、
最高の得票数だったらしいじゃないですか?
- 高橋
- はい、おかげさまで。
本当にテレビに助けられました。
でも、糸島に移り住んで12年、
せっかく議員に選んで頂いたので、
口はばったい言い方になりますけど、
糸島に恩返しがしたいですね。
- 野田
- 恩返し?
- 高橋
- はい。
実は福岡市内に住んでいたときには、
あまり無かったんですが、糸島に来てからは
「地域の集まりで司会をしてくれないか」とか
「地元のイベントで話してくれないか」という依頼が
結構あったんですよね。
それが、僕にとってはものすごく嬉しかったんですよ。
こんな僕でも、地域で必要とされているんだと思ってですね。
- 野田
- 糸島の人たちは温かいんだね。
- 高橋
- だから、そんな糸島の人たちの声が
反映される市議会にしなきゃと思ってます。
例えば、公園を作りましょうという議題になったとしたら、
60歳代以上の人は「広いスペースを確保して欲しい」
という意見になるんですが、それは年に一度の
夏祭りのためにスペースが必要だという話なんですね。
確かにそれは必要ですし、大切な意見なんですが、
日頃その公園を利用するであろう、
30歳代の若いお母さんにしてみれば、
「遊具を設置して欲しい」となるんです。
つまり、夏祭りのための広いスペースは、
子どもにとっては遊べない場所だ
という意見もあるわけです。
だから、色んな人たちの声に
耳をかたむける時間を大切にしていきたいですね。
- 野田
- 素晴らしい!
20年後ぐらいには糸島市長になれるんじゃない?
- 高橋
- いやいや、無所属の僕が自分で
どうこう出来るような話じゃないですよ。
それより、糸島市民のみなさんに
背中を後押ししてもらえるように、まずは頑張らないとですね。
- 野田
- ”背中を後押し”で思い出したけど、
オーストラリアでバンジージャンプやった時は、
なかなか飛べないスターの背中を私が押しましたね(爆笑)。
あれはいいバンジーだったなぁ。
- 高橋
- 南半球に行かされて、飛ばなきゃロケが
終わらないってメチャクチャですよ。
しかも、一回飛んだのに”落ち方のフォルムが気に入らない”
とか何とか言って「スター、テイク2行こうぜ」ですよ!
それが、一発勝負で飛んだようにキレイに編集されてて、
あなたは映像の鬼・・・いや、人として鬼です!(笑)
- 野田
- まあまあ、そう言わんと(笑) 。
昔は一緒にスターの部屋で●●ビデオを
楽しんだ仲じゃないですか。
そしたらスターの彼女(当時)がいきなり訪ねてきて・・・。
- 高橋
- わーっ!ストップ!ストップ!
あれは若気の至り!以上!
- 野田
- 失礼いたしました、先生(爆笑)
- 高橋
- (この日最高の音量で)
フェッ、フェッ、フェッ、フェッ、フェッ。ゥヒィ~。